映画 立川談志 ディレクターズ・カット/ Danshi Tatekawa the Movie Director's Cut Ver.

僕は子供の頃本郷に住んでいて、祖母に鈴本演芸場に連れて行かれることがあった。

しかしその頃は寄席の良さがわからなかった。
子供の私にとっては、芸人はTVの中の人であり、知らないおじさんが目の前であれこれ喋っているという状況に適応できなかった。

演目によっては多少艶っぽいのもあるし。

そう、ライヴ感というか「なま」の感じが苦手だった。
このとき感じた「なま」とは、「生」であり「性」であり、子供なら皆苦手なものであると思う。



さて、人間中年にも差し掛かるとさすがに「なま」にも耐性が付いた。そこでひとつ落語でも聴いてみようかと思った。


立川談志さんについては興味はあったものの、どこから入ればよいのか迷っていた。

そんななか、談志さんの一周忌を終えたところでドキュメンタリー映画が発表されたので、これを入り口にしよう、と思った。


立川談志さんの生前の高座二編と、彼による落語解釈。


Trailer


「映画との対話」

落語における笑いは手段であって、目的では無い。落語の本質は人間の業を肯定すること。

これはすごいことを聴いたと思った。すさまじいことだと思う。

比べるべきものではないことは重々承知で、落語とは、音楽特に「歌」に近い性格を持つものだと僕は思った。歌も業を肯定するから。

するとイリュージョンについては、やはりセッション的なものなのだろうか、これも音楽に例えれば。フリースタイルとも似ている次元だとも思う。

勝手に落語と音楽をたとえてしまったが、あながちはずれてはいないと思う。

談志さんはミュージカル映画を好んだというし。


「おまけ」

名演と呼ばれる「芝浜」。浜の描写がとても美しい。本当に朝日に包まれるかのようだった。東京の静まり返った朝の情景が浮かぶ。



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