ランボー 最後の戦場 : Rambo

そういえば観ていない映画だった。
公開当時は話題にならなかった映画と記憶している。

ただ、エクスペンダブルズ以降のスタローンの精力的な取組をみて、彼の現在のマインドを知りたくなった。

Trailer



人間兵器ランボーシリーズの最終章。


「映画との対話」

スタローンの映画はそんなには観ていないけれども、ランボー(ロッキーもともに)は自己のアイデンティティを探す映画だと思う。

映画のなかのランボーというキャラクターは戦場のスペシャリストとして鍛えられて卓越した能力を持つのだが、本人が悩むのは戦闘能力しか自分の価値が無いということ。戦争という目的を果たすための手段でしかない存在に悩んでいる。なので、毎回何かの「目的」につられて手助けするわけなのだが、その手段として使い捨てられるので、彼の人生的な目的は見つからないしうまくいっていない。

現実のスタローンは俳優志望ながらも卓越したストーリーテリング能力を持っていて、映画人としては非凡な才能を持っているにも関わらず、アクション俳優としてのヒット作しかなくて葛藤していたのだと思う(私の想像)。

しかもランボー1の背景となったベトナム帰還兵のPTSDによる暴力事件のデータは無かったというし、2のMIAによる長期捕虜は見つからなかったし、3で手助けしたゲリラはムジャヒディンになってしまうし、まったくうまくいっていない(町山情報)。


ランボーもスタローンも卓越した能力を持ちながらも、自分の特殊なアイデンティティにどう向き合ってよいかわからない。この二人の持つ葛藤が見事に昇華した映画だった思う。


ランボーは自分の才能に値する「目的」がないことに折り合いをつけて故郷に帰った。

逆にスタローンは卓越したアクション映画人としての才能を活かそうと決めた。
これがマインドだった。
過去の仲間を呼び寄せてエクスペンダブルズを製作しているの理由もここにある。


「おまけ」

劇中の宗教系NPOの持つ無力感は、映画人とも重ね合わせることができる。
しかし、宇多丸情報ではこの映画のスローガンが現実にビルマの反政府勢力のスローガンになっているらしい。映画自体もうまく現実と繋がったようで良かったと思う。



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